【コラム】地球温暖化のお話(13)ダチョウは人類の救世主 !?
石津 顕
このタイトルを見て、おそらくエッ?と思われるでしょうね。でも本当なんです。今回はちょっと一息入れて、ダチョウのお話をします。ダチョウは医療分野への応用や食糧危機の救世主になるかも知れない有用な動物なんです。
ダチョウを食用にし始めたのは1980年代からで、イギリスでBSE問題が発生した時に、ある航空会社が機内食の肉をダチョウに変えてから盛んになったそうです。味はやわらかい牛肉に近く、刺身でも食べられるとのことです。肉は1羽から約35Kg取れ、国内でも各地で飼育されていて通販で購入できます。
まず食べるお肉のお話。ダチョウは餌に穀物が要らず少量の草だけで育ちます。牧草を良質のタンパク質に変えてくれるのです。穀物を必要とする人間と食糧の競合がなく、飼料効率がバツグンにいいのです。肉1Kgを得るために、牛は10Kgの穀物が必要ですが、ダチョウは牧草だけでよいのです。
ダチョウは古くからの姿をとどめて大きく進化していない動物で、アフリカのサバンナの過酷な環境で粗食に耐えて生き抜いてきたために消化効率、代謝効率が良くなったためだろう(生物学者 福岡伸一教授)とのことです。温暖化で砂漠化が進み、穀物の収穫が減少している上に、穀物が必要なバイオ燃料との競合もない、現在の救世主と言えます。
飼育はオーストラリアが熱心で、肉の多く取れる野生種オスと卵を多く生むアフリカンブラック(メス)を掛け合わせて肉が多く取れるよう品種改良が進んでいるそうです。

次に医療面のお話。ダチョウは感染症に強く、免疫力があるので、自分のキズも早く治ります。生んだ卵はニワトリの約30倍の大きさなので、メスに抗体を与えて体内で抗体を作ると良質で強力な抗体が大量に作れることになります。
インフルエンザ、HIVなどの感染症やガン治療、食中毒予防、美容など、さまざまな抗体を精製する研究が進んでいます。抗体入りマスクはすでに実用化してヒット商品になっているそうですし、最も研究に熱心な京都府立大学の塚本康浩教授は抗体入りクリームを学生に試してもらい「一週間後にほとんどの学生が肌の状態が良くなった」と報告しているそうです。商品化されたクリームは現在美容皮膚科などで使用されているとか。
良いことずくめのダチョウですが、脳みそはたったの40gで自分の目玉以下の大きさしかありません。実際にダチョウは記憶力が悪く、飼育員のことを次の日には忘れてしまうそうです(大笑)