【コラム】地球温暖化のお話(14)フードマイレージ

石津 顕

フードマイレージ

スーパーには溢れるほどの商品。食べ物には不足なく、家庭からの食品の廃棄量も驚くほど多い飽食ニッポン。でも食品材料の自給率は約40%で60%は海外からの輸入品であることは以前に書きました。
フードマイレージという聞きなれない言葉をご存じでしょうか? これは食料の輸送量に輸送距離を掛けた値で、食料の輸送による二酸化炭素の排出が環境に及ぼす負荷(地球の温暖化など)の程度を表す指標です。外国に比べて日本のフードマイレージは極めて高いのです。下の表は農林水産省・農林水産政策研究所で計算された国別のフードマイレージの総量と国民一人当たりの数値を示しています。

単位はトン×キロメートルですが、日本は国全体の総量が飛び抜けて大きく、当然国民一人あたりも最大になっています。この数値が大きいのは、遠い国から大量の食糧を輸入していることをはっきり示しています。例えば漁獲資源で言うと、われわれ日本人が、世界の高級な漁業資源を食べつくしている張本人であるというのは紛れもない事実です。

マグロの中で最も枯渇が懸念されているのは高級魚のクロマグロとミナミマグロですが、世界のクロマグロの80%、ミナミマグロはほぼ100%を日本が消費しています。他のマグロを含めたマグロ全体でも、世界人口の60分の1(1.7%)に過ぎない日本が、世界のマグロの30%を消費しているのです。

マグロだけでなく日本は全世界で消費されるウナギの70%、たこの約3分の2、いかの約3分の1を消費するいずれも世界最大の消費国なのです。日本人が大好きなエビやカニも同様です。私たち日本人には耳の痛い話ですが、遠洋で捕獲される高級魚が何千キロもの距離を空輸されるとエネルギー消費量と二酸化炭素の排出量は膨大になることを忘れてはいけませんね。日本のフードマイレージが世界最大で、高級な漁業資源を大量に食べつくしている(しかも温暖化に寄与して)ことがよく判ります。

漁業資源だけではありません。カナダ産の小麦粉で作られたパンに、ブラジルのコーヒー、アメリカのオレンジ。しかしその輸送には大量の二酸化炭素が排出され、食品には長時間の保存に耐えるように薬剤が使用されるという現実もあります。
健康や環境に対するリスクと引き換えに、わたしたちはたくさんの食品を手にいれていることも笑って済ませられません。

「地産地消」という「地元で生産されたものを地元で消費する」という言葉が、最近よく使われますが、近年、消費者の農産物に対する安全・安心志向の高まりから期待が高まってきています。これは農産物に限らず、食糧全体にも、また後でお話しする電力などにも当てはまり、温暖化防止の面からもとても大切なことなのです。