コラム 旅へのお誘い 第14回 斬新な乗り物? DMV
松原 利明
ニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、昨年(2021年)12月25日から、徳島県海陽町と高知県東洋町(室戸岬に近く、四国の右下とPRしている)とを結ぶ、第三セクター阿佐海岸鉄道がDMVなる乗り物の営業運行を始めました。
DMV=デュアル・モード・ビークルとは、2つの状態の乗り物のことのようで、この鉄道は、線路と道路の両方を走ることができる乗り物としてPRしています。世界初ということがよく出ていますが、厳密には世界では過去に数例、実際に走ったことがあるようです。
それはともかく、レールもアスファルトの道路も走るって、なにか特別な楽しい乗り物のような気がするのですが、実際どうなのでしょう。
見た目はボンネットが目立つマイクロバス。
「海の駅東洋町」停留所から乗車したのですが、サーフインの盛んなところだけあって、ゆかいな看板が立っていました。
このあたりは道路上なので、しばらくはごく普通にマイクロバスに乗っている感覚。そして次の「甲浦(かんのうら)」駅で鉄道モードに切り替えて、ここから線路を走るための変化があるのですが、乗客はその約15秒ほどの間、車内に太鼓の音を含む掛け声のようなのが鳴りひびくだけで、そのモードチェンジ自体は見ることはできません。このへんはその鉄道会社も考えていて、モードチェンジするもうひとつの駅、JR牟岐線と接続する「阿波海南」駅では、撮影スポットが設けられていて、ここでならその変化を見ることができます。

確かに一風かわった乗り物ではあるのですが、これが今後どのように受け入れられていくのか、将来にわたって運行していけるのか、私は少々疑問に思いました。というのは、この阿佐海岸鉄道、これまでも地元民の足としての需要はほとんどなかったとのこと。赤字のローカル鉄道といえども、朝夕は通勤通学の客がいて、そこそこ混雑するのが普通です。私も全国各地を旅行していて、なるべくこの時間帯は避けて利用したりしています。ところがこの鉄道、定期券販売の実績が皆無に近かったとか。現に今回乗ってみても途中の駅での乗降客は無し。18席ある座席には5人が乗っていましたが、すべて観光客でした。これではテーマパークのアトラクションです。まあそれも想定のうちということですが、今後いかに地元客と観光客とを取り込んでいくかが課題ですね。
現地までは車でも相当時間がかかるし、公共交通機関で行こうとすれば、JRとの接続がよくない時間帯も多い。私は比較的接続の良い高知県側から行ったのですが、高知駅を9時すぎに出発、JRと土佐くろしお鉄道とバスを乗り継ぎ、DMVに乗車する海の駅東洋町バス停に着いたのは13時前、約3時間半かかりました。
と言っても風光明媚なところを走るので、乗り物が好きな方ならあまり苦にはならないと思いますよ。
また、早朝に三ノ宮から高速バスで徳島へ、そしてJR牟岐線とをうまく組み合わせば日帰りも可能ですが、せっかくなら現地どこかで宿泊しましょう。私は高知に前泊しましたが、ついでの観光とはいいながら、高知城やひろめ市場(特に酒好きの方)を組み合わせるのも良いと思います。









