【コラム】オオムラサキ 49回目 :2022-5月号

兵庫丹波オオムラサキの会  会長 足立 隆昭

オオムラサキの成長と発育(変態)

卵から孵化したオオムラサキの幼虫は5回の幼虫脱皮と2回の変態脱皮(蛹化・羽化)を経て成虫になります。このように成長・変態の過程で幼虫が脱皮を繰り返すのは、幼虫・蛹の表皮が硬いキチンの外骨格で被われ、その成長や変態のために新しい大きな外骨格を準備し不要となった外骨格を脱ぎ捨てなければならないからです。
すなわち、幼虫脱皮と変態脱皮は成長の過程で不要となった古い外骨格を脱ぎ捨てる現象です。
昆虫が約4億年も前から棲息してきた証の一つでもあります。
今回はオオムラサキの孵化と幼虫脱皮について紹介します。

孵 化

産卵から約1週間後、卵の中から殻を食い破り孵化します。
孵化した殆どの幼虫は自分の殻を栄養源として食べています。
その後各個体は棲み心地の良い場所(エノキ葉)を探し食べます。
1齢は背中の突起が無く2齢で出来ます。

越冬幼虫4齢から5齢幼虫へ脱皮


2010年5月5日15時08分~15時11分

3分間で4齢幼虫の脱皮が終了

脱皮する時は無防備の状態ゆえ素早く脱皮し、臭いなどの残渣のある場所から素早く離れます。

4齢幼虫は11月から約6か月間何も食せず過ごしてきました。
これから春の幼虫としてエノキの葉を十分に食べ、次世代を造る体に成長します。

5齢幼虫から6齢幼虫(終齢)へ脱皮


2010年5月21日11時32分~11時47分

15分間で5齢幼虫から6齢幼虫へ脱皮が終了

上の写真は5齢幼虫の上皮が白化、頭の部分は前へ、胴体部分は尾部の方へ脱皮しました。
5齢幼虫が白化、変化していく幼虫の姿を初めて見た時、自分の立ち位置が現世でないような感じがしました。

(参考)脱皮について

昆虫を含む節足動物・線形動物・脊椎動物も脱皮をするとされています。
以下に生物事典、ブリタニカ国際大百科事典の説明を紹介します。
生物事典
動物が個体発生の段階で皮をぬぐこと。
無脊椎動物の多くは外部骨格が発達しているため、成長の過程で顕著な脱皮現象が見られるが、脊椎動物でも両生類、爬虫類でよく知られている。鳥類の換羽も同様の現象と考えられる。脊椎動物ではチロキシン、昆虫類ではエクジステロイド・幼若ホルモン、甲殻類ではY器官のホルモンが脱皮について支配的に働いている。
ブリタニカ国際大百科事典
昆虫や甲殻類などの節足動物や線形動物のように体表に堅いキチン質の殻をもつ動物が、成長の過程で古い殻を脱ぎ捨てること。
節足動物では脱皮に伴って変態し、昆虫類では通常幼虫期に5~7回、蛹で1回の脱皮を行い成虫になる。しかし、甲殻類や無翅昆虫では成虫になっても脱皮を続ける。カエルやヘビなどの脊椎動物が皮膚を更新することも脱皮という。

            参考文献 チョウの生物学 本田計一 加藤義臣 東京大学出版会
生物事典&ブリタニカ国際大百科事典 電子辞書Brain

文責:写真     足立 隆昭

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