【コラム】「猪名川アラカルト」第5回
生物が知らせる猪名川の水質と指標生物 その1

川の上流・中流・下流域の水の中には、多種多様で多くの小さな生物〔底生動物〕が生息しています。カワゲラ・カゲロウ・トビケラ・トンボのヤゴなどの水生昆虫や貝・カニのなかまなど、たくさんの種類が発見できます。
川にすむ生物は、水に溶けている酸素の量〔溶存酸素〕と深く関係しています。酸素は、水温が低いほどよく溶け、高いほど溶ける量は少なくなります。酸素は、植物の光合成によってもつくられますが、汚れている川では、細菌類等によってたくさん使用されるので酸素の量はより少なくなっています。川の上流は、五感を通してもきれいで、手で水をすくったり、足を入れてみたくなります。家族でキャンプやアウトドアーで体験をされた方も多いと思います。

川の最上流や上流は、中流や下流に比べ、水温が低く酸素を多く含んでいます。水温が低く酸素を多く必要とする生物が生息します。水温が高くなったり、細菌類などが増えて酸素の量が少なくなると、きれいな水にすむ生物はすめなくなり、汚れたところの生物が多く見られるようになります。それぞれの生物は、溶けている酸素の量との関係で、自分にあった「環境の幅」をもっています。そこにすむ生物を調べることで、水質などの川の環境がわかり、そのことを教えてくれる生物を指標生物と言います。どこでも生息する生物は、指標生物としては不適切です。一定の環境の幅の中で生息する生物を指標生物として定められています。その指標生物を用いて、川の水質を調べる方法を「生物学的水質判定法」と言います。

水のきれいさの程度は、きれいな水〔水質階級1級〕ややきれいな水〔水質階級2級〕きたない水〔水質階級3級〕とてもきたない水〔水質階級4級〕の4つの階級に分け、現在は、29の指標生物を用いて、毎年、河川の水質環境調査が行われています。猪名川水系では、国土交通省猪名川河川事務所主催の「猪名川愛護セミナー」ほか、流域各小学校での環境体験学習のほか、多くの関係団体や機関が生物と河川の水質環境について、環境調査や保全活動に取り組んでおられます。