【コラム】猪名川アラカルト第8回 水質階級Ⅱ級の代表生物「ゲンジボタル」

川西市域・猪名川の自然と生きもの「人・くらし・自然」
環境省 環境カウンセラー 牛尾 巧

猪名川上流域や川西市域の黒川、芋生川、初谷川などでは、ゲンジボタルが飛び交います。5月~6月、ホタル鑑賞会やホタルウォークを楽しまれる人たちに出会います。里の川にすむ代表的な生物“ゲンジボタル”、里山のくらしと田畑の栄養分が適度に流れ込む小川が最良の生息場所であり、生物学的水質判定法による水質階級Ⅱ級の代表的な指標生物でもあります。
ホタルは世界中に約2,000種類以上、国内には約40種類以上が生息していると言われています。その中で、発光するのは14種類程度のようで、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類は、よく知られています。その中で、私たちにとって、身近で、不思議な魅力をもっている「ゲンジボタル」について紹介します。

10か月間、長い幼虫時代を過ごします!

成虫の大きさは、12~18mmで、メスの方が体は大きく、日本在来の大型種です。体色は黒色ですが、前胸部の左右はピンク色で、中央に十字架形の黒い模様があります。成虫は、10日間程度生きて、5月下旬から6月下旬頃に、1匹で約500個程度の卵を水際のコケに産みます。卵は、1か月で孵化(ふか)し、幼虫になり、約10か月(6回脱皮)の水中生活を送ります。幼虫時代は、カワニナを消化液で溶かし肉汁にして吸収し成長します。4月中旬頃の雨の降る夜、水辺の土の中にもぐり蛹(さなぎ)になり、約1か月後、脱皮して成虫になります。成虫になると水分を摂取するのみで、活動や産卵は幼虫時代に摂った栄養分で行います。成虫の期間は2~3週間しかありません。

成虫も幼虫も光ります!

ホタルの成虫は、腹部後方の尾部に、淡い黄緑色の発光器官があります。オスは第6腹節と第7腹節が発光しますが、メスは第6腹節だけが発光します。ルシフェリンという発光物質がはたらいて発光するとされています。蛍の光は冷光と呼ばれ、明るさは約20匹でロウソク1本と同等と言われています。今年も、猪名川水系で、求愛の光を灯し続けることでしょう。