【コラム】地球温暖化のお話(31)中国・三峡ダム
石津 顕
コロナ、バッタに次いで、新たな大問題が中国で発生したとの情報です。これも地球温暖化と深い関係があり、大変な問題なのでとり急ぎお話しします。
今年は日本でも梅雨が長く続き、九州などで大きな災害が発生しましたが、中国でも大雨が続いているとの報道です。中国の大雨だから日本には直接関係ないと思われるかも知れませんが、実は大変な影響が出る心配があるのです。

「引用 朝日新聞」
三峡ダムというのをご存じと思います。長江の上流部で険しい山岳が両岸に迫ってその風景は中国を代表する風光明媚な名勝になっていますが、その山岳地帯に建設された大型重力式コンクリートの世界最大のダムです。今、そのダムの上下流に歴代級の大雨が降り続いているのです。そしてダムの上下流の大都市である重慶、宜昌、武漢、南京などが大洪水に見舞われているとのことです。
このダムは1993年に着工されて、2009年に完成しています。建設前から問題が指摘され、建設反対の意見も多かったとのことですが、建設は強行されたのです。
その三峡ダム。すでに2,000か所のひび割れ、6,000か所の地すべり・山崩れが発生、2019年の衛星写真では地形の変形が確認されており、世界ダム協会から三峡ダムは世界一危険なダムであると指摘されているそうです。
一方で大連理工大の調査で、中国では1954年から46年間で37,000件のダム決壊が発生しており、1日平均1.5基のダムが決壊、ダム決壊は珍しくないとは驚きです。しかし三峡ダムの規模の決壊では大変なことになります。実際に1975年には河南省の板橋ダムが大雨と台風で決壊し、24万人の死者が出ています。
もし不幸にして三峡ダムが決壊したら、宜昌、武漢、南京、上海などは2日以内に水没するとのことです。この流域には6億人が住み、一帯は穀倉と工業地帯で、中国のGDPの50%を占めていますから、地球規模での大変な被害が予想されます。
流出する土砂、瓦礫は数10億トンにおよび、流出物は東シナ海、黄海から対馬海流に乗って日本海へ流れ込みむと予想されます。厄介なのは、日本海は出入口が狭く、いったん流れ込むと内部に留まってしまい、日本海が汚染の海と化す恐れがあることです。流出物は土砂、瓦礫だけでなく、工業廃水、農業廃水、生活廃水も含まれ、それらには有害な化学物質、病原菌、害虫、各種の生物なども含まれており、大変な事態が想像されます。
梅雨前線が停滞して雨を降らせるのは毎年繰り返されていることですが、今度の大雨は温暖化によって高まった水温と気温が、水蒸気を増やしながら雨の量を大幅に増加させた結果だと分析されています。
地球温暖化の影響について、前回、80年後の予測について触れましたが、今回お話しした三峡ダムの決壊は近い将来に発生確率が高いと懸念されており、想像するだけでゾッとします。対岸の火事で済まされないことを知っておく必要があります。三峡ダムの決壊が起こらないことを祈るばかりです。