【コラム】地球温暖化のお話(47) ヤマメ(山女魚)

石津 顕

前回脱線して魚の話をしましたが、渓流釣りキチの私はもう一回脱線して、渓流魚ヤマメの不思議な運命の話をします。
ヤマメ(アマゴ)は山奥の源流部に生息する名前通りの美しい渓流魚です。ヤマメとアマゴは姿、形、色がほとんど同じですが、体側にゴマ粒くらいの赤い斑点があるのがアマゴ、無いのがヤマメで、ほとんど同種です。どちらもサケ科で、太古の時代には海と川を往来していたのが、気温などの環境の変化で水温の低い源流部に閉じ込められてしまいました(陸封と言います)
神奈川県の酒匂川(さかわがわ)辺りを境に西の太平洋側がアマゴ、東の太平洋側と日本海側全域がヤマメと生息分布が分かれています。もっとも、最近は養殖技術が進んで各地で放流されるため、棲み分け分布は乱れ、両方の交雑種もいるそうです。
源流部に閉じ込められたヤマメ(アマゴ)ですが、ごく少数が川から海へ下って行きます。生存競争に敗れた弱いものが下って行くという説がありますが定かではありません。海へ下ると山奥の渓流と違ってエサが豊富なため、ぐんぐん成長して大きくなります。
そして、数年の後、産卵のために生まれた川を遡ります。その頃には名前が変わり、ヤマメはサクラマス、アマゴはサツキマスと呼ばれます。
産卵のために生まれ故郷を目指し、悪戦苦闘で遡上して懐かしい故郷に辿りついたサクラマスは、数年前に生き別れた昔の多くの仲間たちに感激の再会します。
驚くほど大きく育った珍客のサクラマス(サツキマス)のメスをめぐって、たくさんの小さいオスが我先にと争奪戦を繰り広げて産卵します。写真下は産卵風景ですが、大きさ、姿、形、色がまったく違うのに仲間だと判るのはとても不思議です。やはり血のつながりなんでしょうか。
数奇な運命を辿った巨大なメスと山奥に残っていた小さなオスの感激の再会ですが、再会は束の間に終わり、メスは産卵後はボロボロになって力尽き、一生を終えます。
生き別れ、苦闘の長旅の末の再会、束の間の出会い、そしてひっそりとした寂しい別れ、山奥の渓流の哀愁のドラマです。

追記

琵琶湖は特別で、琵琶湖にそそぐ川はアマゴですが、琵琶湖が海と同じ働きをしており、成長してビワマスと呼ばれて、琵琶湖の固有種になっています(写真上)

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