【コラム】地球温暖化のお話(42)アンモニア①
石津 顕
前回、温暖化防止のために、温室効果ガスの排出を30年後にはゼロにするカーボンニュートラルを実現するには、現在のエネルギーを大幅に削減した上に、二酸化炭素を発生しない新しいエネルギーを開発する必要があることをお話しました。新しいエネルギーとして、アンモニアが次世代のエネルギーとしての可能性が大きいと言われています。
アンモニアと言えば、肥料などに利用されてきた刺激臭のある有害な物質というイメージをお持ちではないでしょうか?
アンモニアは常温常圧では無色透明の気体です。特有の強い刺激臭があって、毒性があるために「劇物」に指定されています。アンモニアの分子式は「NH3」で、水素(H)と窒素(N)で構成されています。このアンモニア、昔から肥料として利用されてきたことはご存じと思います。今も、化学的に合成されたアンモニアの大半が、肥料の原料として使用されています。下図は資源エネルギー庁から引用したものですが、今までほとんど肥料に使われてきたアンモニアを新しくエネルギーに利用することが説明されています。
しかし、この図だけではアンモニアの利用の大切さやどんな方法があるのか判りにくいので、説明が必要です。
今までアンモニアは約8割が肥料として使われ、工業用としての利用は2割でした。工業用としてはメラミン樹脂や合成繊維のナイロンなどの原料として利用されています。また、アンモニアは、火力発電所が排出する煤(スス)に含まれる、大気汚染物質「窒素酸化物(NOx)」の対策にも利用されています。NOxにアンモニアを結びつけることで化学反応を起こし、窒素(N2)と水(H2O)に還元する「還元剤」として利用しています。
このような工業用の用途や肥料用の用途は減らないばかりかむしろ増えてきます。そのために新しくエネルギー用として利用するためにはアンモニアを大量に作ることが求められます。次回からアンモニアの製造方法や利用方法などについてお話します。
