【コラム】地球温暖化のお話(45)地熱発電

石津 顕

二酸化炭素の排出をゼロにするために、再生可能エネルギーを大幅に増やすこと、さらにアンモニアなどの新しいエネルギーの開発を進めることが大切なことは皆さんよくお判りいただけたと思います。
再生可能エネルギーとして、もう一つ。皆様がきっと大好きな温泉。温泉は地下に貯まった水が高温のマグマで熱せられ地上に出て来たものですね。ここでお話する地熱発電は地下で高温になった水蒸気を利用します。
地上で降った雨は、地下の高温マグマ層まで浸透すると、マグマの熱で蒸気になって地下1,000m〜3,000m付近に溜まります。井戸などを掘ってこの高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電するしくみです。下図はその原理を描いたものです。

地熱発電はCO2をほとんど出さずにエネルギーを作りだすことができることがメリットです。また地球内部のマグマの熱を使うので、エネルギー源が枯渇する心配はありません。太陽光発電や風力発電と違って発電量が昼夜、年間で変動することもなく、安定した発電量を得られることも大きなメリットです。日本は世界でも有数の豊富な地熱資源に恵まれています。
良いことずくめのような地熱発電ですが、発電設備を作るための調査や開発には大変な時間とお金がかかります。導入が進んでいないもう一つの理由は、地熱発電に適した場所が国立公園や温泉地にあるということもあります。
地熱発電に適しているのは、火山の近くで、日本国内では主に北陸・東北・九州・北海道などに高い可能性があると考えられています。
大分県八丁原地熱発電所は、出力110,000kWで、風光明媚な阿蘇くじゅう国立公園特別地域の一画にある国内最大規模の地熱発電所です。発電所の運転や計器の監視などは約2km離れた大岳発電所から行っており、通常は無人運転が行われているそうです。
私はかつて、熊本に3年間勤務しましたが、阿蘇からやまなみハイウエーを通って大分に向かうと雄大な美しい眺めが続き、長者原(ちょうじゃばる)登山口から登る九重の山。九重の高い所にある法華院温泉に向かう途中の山道。草木が一本もなく、あちこちから硫黄の匂いの蒸気が噴き出す異様な風景で、地獄の谷の様相でした。そこを通り過ぎて行き着いたひなびた山の温泉と坊がつる湿原。地熱発電所はこんな温泉の近くに作られるんですね。
遥かなる大分・九重の山々、湯布院などなど。思い出がなつかしくよみがえります。

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