【コラム】地球温暖化のお話(46)山奥の池の魚

石津 顕

ここで少し一休みして、温暖化とは直接関係ないけれど、ちょっと不思議なお話を。
皆さんは人里離れた、ひっそりとした山の中の池に魚がいることに気付かれたことはありませんか? こんな山奥の池に誰も魚を放流するとは思えないし、流れ込む小川なども無い孤立した山深い池です。 魚はどこから来たんだろうと、私はずっと不思議に思っていました。最近になって、興味深い論文を見つけましたので、今回は少し温暖化から脱線してその論文を引用してご紹介します。
ハンガリー・ドナウ研究所の研究チームは、コイとフナの卵をマガモに与える実験を行い、「マガモに与えた魚卵のうち0.2%が消化器内で生き残り、フンとして排泄され、さらにその一部は孵化した」との研究結果を2020年6月に「米国科学アカデミー紀要」で発表しています。
鳥獣に食べられ、フンとして排出されることで種子が運ばれる「動物被食散布」は植物でよく知られていますが、今回の実験では、魚の卵にも同様の性質があることが明らかとなったとの論文です。
研究チームは、マガモ8羽にそれぞれコイとフナの卵500個を与え、75%のマガモのフンから合わせて18個の卵を検出しました。そのうち12個は生長可能な状態で見つかり、さらにそのうちの3個が孵化に成功したとのことです。
マガモの消化器内で生き残った卵の割合は0.2%と低いですが、コイの産卵数は1回あたり最大150万個にのぼり、1シーズンに数回、産卵します。タンパク質と脂質が豊富な魚卵は、マガモをはじめとする水鳥の好物です。カモ1羽から6万3500個もの魚卵が見つかった例もあるとのことです。
これらの結果から、研究論文では「自然界でのカモの個体数の多さや採食、移動を考えると、カモの『動物被食散布』が淡水生態系の生物多様性の保全や外来種の移入に影響しているのではないか」と考察しているとのことです。
山奥の池の魚は鳥が運んで来たかも知れないのですね。とても面白いですね。ヤマメ・イワナなどのサケ科の魚が、川と海を往来する不思議な習性をもつことは、渓流釣りキチの私には、とても興味深いことでしたが、淡水魚の卵の移入という不思議な事実があることが判り、これが生物多様性や外来魚の移入にも影響しているかも知れないというのは驚きとともに、とても興味深いですね。
(引用 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93845.php)

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