【コラム】地球温暖化のお話(52)砂が足りない
石津 顕
人類は「砂不足」の危機に直面している、と言ったら驚きますよね。砂は、実は水に次いで最も人間に利用される天然資源なんですね。砂の採取は、建設資材を供給するために、世界各地で行われており、消費量は年間500億トンに及び、国連はこのままでは河川や海岸線を破壊し、小さな島々を消滅させる可能性さえあると警告しています。
世界的な砂の消費量は急激に増え、年間消費の500億トンは1人当たり毎日約17キロに相当する量になるとのことです。
砂の採掘は河川や海岸線を破壊し、東南アジア最長の川であるメコン川デルタから砂が大量に運び出され、デルタが沈み、 海面上昇が重なり、陸地が減少し、肥沃な土壌で塩害が進んでいる、またスリランカでも砂の採取が原因で川の流れが逆流する事態も起きているとのことです。海岸では暴風雨など、気候変動の影響をより受けやすくなる危険性もあります。
上流から運ばれてくる量以上の砂が採掘され、枯渇も世界的に深刻になってきています。都市の拡大に伴って、ビル建設、道路舗装、公共建造物などのために過剰に採掘されています。世界の200メートル以上の高層ビルランキングを見ると中国の多さが目を引きます。
日本でも砂浜という緩衝地帯を失って、今や海岸線の多くが波消しブロックや防波堤や突堤などの人工構造物で固められてしまいました。東京湾や大阪湾を見ても海岸線はほとんどコンクリートで固められて、自然の砂浜はほとんど残されていません。津波や高波や浸水の被害も目立ってきています。
実際、全国の海岸が年平均17㌢ずつ侵食されている計算だそうです。日本の砂浜の平均が30㍍程度で、このままでは約180年後には、日本の砂浜が全て失われる計算になります。

(出典)「Council on Tall Buildings and Urban Habitat」
国連は、海岸での砂の採取を禁止し、海洋の生物多様性に害を及ぼす浚渫に対して国際基準を設定するよう勧告し、さらにコンクリートのようなリサイクル素材や採掘の際に出る廃棄物から砂を再利用することで、砂の需要を減らすよう求めています。
水、エネルギー、食糧などに続いて砂資源も、、、人間生活がもたらす資源の大量消費。
私たちの地球はそう遠くない将来に本当に燃え尽きてしまいそうで、心配です。 (。╯︵╰。)
不足する砂の大切さ、あらためて“砂に思いを込めて”
- 東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる
- 頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず
- 砂山の砂に腹這ひ 初恋の いたみを遠くおもひ出づる日
- いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ
- しっとりと なみだを吸へる砂の玉 なみだは重きものにしあるかな
- たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず
石川 啄木 「一握の砂」より