【コラム】地球温暖化のお話(57)タカの渡り
石津 顕
皆さんよくご存知のタカ(鷹)。 鋭い目と曲がったくちばし。猛禽類と呼ばれて怖い鳥のイメージ。タカ派という言葉もあるくらいです。タカの仲間はたくさんいて、トビ、オオタカ、ミサゴ、ノスリ、オジロワシ、オオワシ(ワシもタカ目タカ科)など。高い空から地上や空中、水中の獲物を目がけて急降下します。ちなみにミサゴの英語名はオスプレイです。
タカには渡り鳥として夏、冬を日本で暮らすタカもたくさんいることをご存知でしタカ? 例えばサシバ、ハチクマは夏鳥として春に飛来し、秋に南方へ帰りますが、その渡りに魅せられている人がとても多く、全国にネットワークがあり、全国各地の観測地点での日々の渡りの情報をネットで見ることができます。
タカの渡りは9月中ごろから始まり、多い日には1,000羽以上も観測されることがあります。西宮の甲山森林公園などでも観察できますし、私も宝塚の「北雲雀きずきの森」の見晴台で双眼鏡をのぞきながら、わくわくして観測したことがあります。

翼を大きく広げ、地表で温められた上昇気流の風をとらえて、旋回しながら上空へのぼって行きます。そしてある程度の高さまでのぼったら、目当ての方角へスーッと流れるように下ります。タカ柱と呼ばれ、群れになって上昇、下降を繰り返して飛びながら渡って行きます。

ハチクマ
渡り鳥のタカの生態は謎に包まれています。そこで、ハチクマ(名前通りハチが大好物でスズメバチの巣を襲うこともあります)の体に送信機をとりつけて人工衛星で位置情報を受信し、渡りのルートを明らかにしようという衛星追跡プロジェクトがあります。その結果の一例を示すのが右図です。2003年秋に日本から離れ、2004年春日本へ戻った時のルートが判明しています。
このデータは太陽電池を使った軽量の送信機が開発されて、数年間の追跡が可能になって取れたデータですが、ハチクマを捕獲して送信機をとりつける方法が大きな問題で、ハチクマが飛んでくるという養蜂場で1年以上かけて捕獲に成功して送信機を取り付けて送り出し、翌年の春、送信機をつけた1羽が長野県の繁殖地に戻ってくることが受信データでわかった時は、みんなで出迎えたとのことです。この調査で、ハチクマの移動経路は想像していたよりずっと長く複雑であることがわかりました。
日本から渡って行く先は図に示すように東南アジア方面ですが、渡りルート、行き先が気候変動の影響を受けて絶滅も心配されています。長い距離を雄大な旅をする謎に満ちたタカの渡りにロマンが感じられ、魅せられることがお判りでしょうか。
“鷹一つ見つけてうれし いらご崎” 芭蕉