【コラム】地球温暖化のお話(58)小型の渡り鳥のルート
石津 顕
前回、タカの渡りのお話をしましたが、タカのような大きい鳥の渡りのルートは発信機を付けて追跡することで、かなり調べられています。例えばツル、ハクチョウなども。しかし小型の渡り鳥には発信機を付けられません。そこで非常に興味のある方法で小型の渡り鳥のルートを調べた結果があります。とてもうまい方法なのでご紹介します。
その方法は、小型のデータロガー(記録計)を小さい渡り鳥に取り付けて利用したことです。この記録計は各地点での日時と明るさだけ記録できるもので、約0.9gという軽さです。記録計を取り付けた鳥を捕獲して日時と明るさの記録データを調べます。
記録計を付けた鳥が飛んでいる地点での夜明け~日暮れの日時から日中の長さが判ります。日中の長さが判れば、その鳥の居た地点の緯度が推定できます。 また日の出時刻から経度が判ります。緯度と経度からその鳥の居た地点が特定できます。それらの点を結んでいけば渡り鳥のルートがわかるというもので、とてもうまく考えた方法です。
調べた鳥はブッポウソウとマミジロ。ブッポウソウ、マミジロなどの夏鳥(日本で夏に繁殖し、国外で越冬する渡り鳥)には近年減少が指摘されている種が多く、ブッポウソウは環境省のレッドリスト(2006)で絶滅危惧 IB 類に指定されています。またマミジロも減少が懸念されています。夏鳥の減少の原因として越冬地での環境破壊も指摘されてきましたが、国外の越冬地が不明なことが減少要因を特定する障害になっていました。

2010年6~8月にブッポウソウ10羽、マミジロ15羽にデータロガーを装着して放鳥し、翌年6月までにブッポウソウ6羽、マミジロ2羽を回収しました。記録計を取り付けた鳥の回収は大変だったと思いますが、回収した記録装置のデータから、広島県で繁殖したブッポウソウがボルネオ島北部で、静岡県を出発したマミジロがカンボジアで越冬したことが明らかになっています。鳥たちは越冬地で森の中に居るため、暗くて昼夜がはっきり判らないこともあったようです。しかし、この方法を利用すればもっと多くの鳥たちの渡りルートが判ってたくさんの興味深いデータが取れそうで、楽しみですね。
半導体技術の進歩で光センサ、記録メモリが高感度化、微細化して実現できた技術です。私の研究していた半導体技術に近く、私もちょっぴりうれしいです。 (^o^;)
(引用 山階鳥類研究所資料)

