【コラム】地球温暖化のお話(63)野菜を半導体で栽培する
石津 顕
半導体のLED(発光ダイオード)を使って野菜を栽培できることをご存知でしょうか?
気候変動の影響で食糧不足が心配され、また食の安全への関心が高まる昨今、野菜が工場で作られたり、自宅で育てた野菜なら、安心しておいしく食べられますね。
ここで使われる半導体のLEDは前回お話ししたシリコンとは違う、化合物でできた半導体で作られる光るダイオードです。
なぜ発光ダイオードは光るのか、半導体でもシリコンは光らないのかは、電子物性物理のお話になって、かなり難しくなるので、このコラムではパスします。
野菜が成長するためには「光合成」という働きが大切です。光合成は葉っぱに太陽の光を受けることで行われる働きなので、日光が当たらないところでは育ちが悪くなります。ところがLED照明を使えば、日光が当たらない屋内でも野菜の栽培ができます。

太陽の光には私たちの目に見える光(可視光線)と、紫外線や赤外線といった私たちの目では確認できない光が含まれています。このうち光合成に使われるのは可視光線の一部で、波長の短い「青い光」と、波長の長い「赤い光」です。
LED照明は寿命が長く消費電力が少ないという特徴もあります。
野菜の成長が早くなる
LED照明を使った野菜栽培なら、光合成に必要な一定の光を効率よく継続して野菜に当てることができるため天候や日当たりに影響されやすい屋外での栽培に比べ育ちがよく、早く収穫できるというのがメリットです。
野菜の栄養価が高くなりやすい
旬の季節にとれた野菜は、ほかの時期より栄養価が高いと言われます。旬の時期というのは、その野菜にとって一番育ちやすい環境になっている時期です。光合成に必要な光を効率よく継続して当てられるLED栽培は、野菜にとって旬の時期に近い環境で、実際に、品種により野菜の栄養価が高くなりやすいのです
害虫や病気のリスクが低い
野菜のやわらかい葉は、虫がついたり病気にかかったりしやすいですが、LED栽培の場合、屋内で育てるため、農薬や殺虫剤を使用せず栽培できるので、栽培した野菜を食べるときにも安心です。
ランニングコストが低い
LEDは他の電球と比べて消費電力が少ないため、少ない電気代で野菜栽培が可能です。風雨対策や害虫対策などの労力や費用もかからないため、栽培のランニングコストは比較的低いと言えます。
こう書くと良いことづくめですが、畑で作られた野菜には土から吸収されたいろんなミネラルなどの栄養成分が含まれていますが、工場で作られた野菜はどうなんでしょうか。
食品成分表が以前とすっかり変わるかも知れませんね。
それと工場で野菜を作ると、季節感がなくなるのも何だか寂しいですね。そのうちイチゴはクリスマスの時期が旬だなんて、子どもたちは思うかも知れませんね。
長い寒さを逃れて、春のおとずれを感じる和歌を二首
石ばしる垂水の上のさ蕨の 萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子
君がため春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪はふりつつ 光孝天皇