【コラム】地球温暖化のお話(30)アフターコロナ

石津 顕

新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)や経済活動の縮小が、大気汚染の改善や二酸化炭素(CO2)排出量の減少として環境へのプラス効果をもたらしているようです。これに合わせて科学者や環境保護活動家、宗教指導者などからは、「コロナ後」の工業生産や経済活動のあり方を見直すべきだとの声が上がっています。

都市封鎖のおかげで、インドでもアメリカ北東部でも澄んだ空が戻ってきており、人工衛星の測定データによれば、アメリカ北東部上空の大気に含まれる窒素酸化物は30%も減少しました。化石燃料を燃やして走っていた多くの車が、道路から姿を消したことが大きいです。
また、インド北部の大気汚染の指標もここ数十年で最も改善され、インドからは30年ぶりにヒマラヤ山脈が見えたというニュースもありました。
このようなニュースは温暖化防止の面からは大変喜ばしことなのですが、国連環境計画(UNEP)が昨年11月に発表した報告書によれば、パリ協定で定めた産業革命前からの気温上昇を1.5度にとどめる目標を達成するには排出量を2030年まで毎年7.6%削減し続ける必要があるとのことです。しかしながら、英国に拠点を置く気候変動分析サイト「カーボン・ブリーフ」によると、「これほどの排出量の急激な削減を10年間も維持するのは極めて困難」と指摘しています。

コロナが終息して世界で経済活動が再開された時に、世界はどんなことになるのか。コロナ後に経済活動が再開されれば、排出量も再び増加に転じるのは明らかです。そして「現在の危機は排出量を一時的に減らすだけ」との警告は現実味があります。

温暖化の研究プロジェクトがまとめた2100年末の気温上昇の影響が出されていますので引用します。これによると気温は3.8~6.8℃上昇、降水量は9~16%増加、海面は50cm以上上昇、災害被害額は3倍程度の大幅増加。コメの品質低下、熱中症も2倍以上に増加、ヒトスジシマカの分布域が拡大など、大変な影響が予想されています。

わずか80年後、私たちの子どもや孫の時代にこんなことになるとの予想は、本当に怖いです。世界中が真剣に温暖化対策に取り組まなければ本当に大変なことになります。
地球温暖化がどんなに恐ろしいことになるのかは、後にもっと詳しく検証していきたいと思います。

暑い話を一休みして、気持ちが少しでも涼しくなるよう百人一首から秋の二首ご紹介します。

“吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ”  文屋康秀『古今集』
“月みればちぢにものこそ悲しけれ わが身一つの秋にはあらねど” 大江千里 『古今集』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です