【コラム】地球温暖化のお話(53)こわいマダニ
石津 顕
皆さんはマダニってご存知でしょうか?
最近咬まれたというニュースを時々見ますが、マダニはイエダニやチリダニ類のように家の中に棲んでいる小さなダニではなく、野山や河川敷など野外に生息する大型のダニで、動物から吸血します。日本ではヤマトマダニなど46種類ものマダニが棲んでいます。
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が、じわじわ増えていて、これまでは西日本中心だったのが、東日本へと広がりつつあります。昨年は、愛知県や静岡県でも初確認されています。
この感染症は発熱や嘔吐、出血などの症状があり、重症化すると命に関わる病気です。
SFTSは、2011年に中国で初めて報告されたウイルス性出血熱の一種で、国内では2013年に山口県で初確認された比較的新しい感染症です。しかし、ウイルスは最近になって発生したわけではなく、それが人間に感染し始めて“発見”されたのだろうと言われています。
マダニ感染症の罹患者には、野山に行っていないのに感染したという人も多く、マダニが街に下りてきたと思われます。
その運び手は、街に出没する野生動物で、イノシシやシカ、アライグマやタヌキ、イタチ……など多くの野生動物が山奥から街へ下りてきており、それらの動物からSFTSウイルスの抗体が見つかっています。これらの野生動物は近年、爆発的に生息数が増えており、山から人里へと生息域を広げて、奥山から里山だけではなく、都市部へも姿を現しています。
野生動物は、身体につけたマダニを街で落とし、街に棲むネズミなどにとりつく。そこから野良ネコなどに感染し、さらに放し飼いされる飼いネコにも広がっていく……という可能性があります。飼いネコ以外に飼いイヌにも感染例はあり、イヌやネコから人間にもうつる。彼らがマダニ、そしてウイルスを広範囲に拡散させている恐れがあります。
体長数mmもある大きなマダニが皮膚に食い付くと、さぞ痛いだろうと思われますが、実はほとんど痛みを感じないそうです。野外活動をした後、マダニに刺されたことに気づかずに何日も過ごすことが、珍しくなく、皮膚の上の小さなかたまりにふと気づいて、あれ? こんな所に何がと思ってよく見ると、そのできものには脚が付いていてビックリ!なんてこともあるとのことです。マダニが口器を皮膚に刺し込む時に、皮膚感覚をまひさせる物質を注入するため痛さを感じないし、取り除こうとしても、ガッチリくい込んで取れないそうです。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)というウイルス感染症に感染すると高熱、下痢などを生じて、血液中の白血球や血小板が減ります。現時点では有効な治療法がなく、最悪の場合、死に至ることもある恐ろしい感染症です。2017年には、SFTSに感染した野良ネコにかまれた50歳代の女性が、感染して亡くなっています。野良ネコ・イヌにはむやみに近づかないようにして下さい。 (´・ω・)ω・`)
七重八重花は咲けども山吹の 実の一つだになきぞかなしき (兼明親王)
このダジャレは太田道灌には通じるでしょうか? (^o^;)